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軍師と商人は仲良しです。
「花王将軍!軍師殿がお呼びです」
「司馬懿が?わかった、すぐに行こう」
鴻霖が伝令に返事を告げると、周りにいた部下たちは機敏に動く。
ある者は鴻霖の愛馬を用意し、ある者は鴻霖に代わって兵站の指揮を執る。
統制の取れた動きに、我が部下ながらと鴻霖は感心した。
「花王将軍、お早く」
「すまない。今、行く」
董卓に与えられた名馬は主人の意思をよく汲み、颯爽と走りだす。
敬礼してくる兵たちに礼を返しながら、鴻霖は幕舎へと向かった。
「司馬懿、入るぞ」
「鴻霖、この辺りの地理はどうなっているのだ」
「挨拶とか前置きの一つも無いのか」
「貴様には必要無いだろう」
「確かに。そこの川だが、一部はかなり深いぞ」
相手を気遣う穏やかな会話など互いに期待していない。
鴻霖と司馬懿は机上の地図を覗き込み、筆を走らせて印を付けていく。
放浪時代に諸国の地形や内情などを見知った鴻霖は、他国での戦の際に特に重宝される。
兵站の才も高く評価されているが、司馬懿にとって欠かせない相談役であるがゆえに前線には出ない。
鴻霖の部下に流れ者が多いのも、彼らが智武の才のみでなく他国の事情に通じている人材だからだ。
こればかりは、いくら名家の武人にも求められない。
「その道の両脇に生い茂っている植物は火をつけるとよく燃えるぞ」
「なるほど。策の一つに加えておこう」
「その策に対する策も練っておけよ」
「わかっとるわ」
突き出される羽毛扇を避ける。
周りが慌てるくらいに憎まれ口をたたき合うのも、二人なりのじゃれ合いだ。
「兵站は万全なのだろうな?」
「俺の部下はいつでも完璧だ」
「間諜の方は?」
「上手いこと敵方の懐に潜り込んでいるだろうよ」
「お陰で向こうの動きは筒抜けだ。なんとも間抜けな敵よな」
「俺の部下に感謝しろよ。それと、この建策が終わったら仮眠をとれ」
「なに?」
司馬懿は地図から顔を上げる。
全く、隠し通せるとでも思っていたのだろうか。
否、この男のことだから隠すつもりもなかったのだろう。
「三日も寝ずにいるんだろう。仲達の行動くらい予測が付く」
悔しそうに黙りこんだ司馬懿に、鴻霖は笑って彼の背中を叩いた。
(お前のやせ我慢なんかとっくにお見通しなんだよ。)
「司馬懿が?わかった、すぐに行こう」
鴻霖が伝令に返事を告げると、周りにいた部下たちは機敏に動く。
ある者は鴻霖の愛馬を用意し、ある者は鴻霖に代わって兵站の指揮を執る。
統制の取れた動きに、我が部下ながらと鴻霖は感心した。
「花王将軍、お早く」
「すまない。今、行く」
董卓に与えられた名馬は主人の意思をよく汲み、颯爽と走りだす。
敬礼してくる兵たちに礼を返しながら、鴻霖は幕舎へと向かった。
「司馬懿、入るぞ」
「鴻霖、この辺りの地理はどうなっているのだ」
「挨拶とか前置きの一つも無いのか」
「貴様には必要無いだろう」
「確かに。そこの川だが、一部はかなり深いぞ」
相手を気遣う穏やかな会話など互いに期待していない。
鴻霖と司馬懿は机上の地図を覗き込み、筆を走らせて印を付けていく。
放浪時代に諸国の地形や内情などを見知った鴻霖は、他国での戦の際に特に重宝される。
兵站の才も高く評価されているが、司馬懿にとって欠かせない相談役であるがゆえに前線には出ない。
鴻霖の部下に流れ者が多いのも、彼らが智武の才のみでなく他国の事情に通じている人材だからだ。
こればかりは、いくら名家の武人にも求められない。
「その道の両脇に生い茂っている植物は火をつけるとよく燃えるぞ」
「なるほど。策の一つに加えておこう」
「その策に対する策も練っておけよ」
「わかっとるわ」
突き出される羽毛扇を避ける。
周りが慌てるくらいに憎まれ口をたたき合うのも、二人なりのじゃれ合いだ。
「兵站は万全なのだろうな?」
「俺の部下はいつでも完璧だ」
「間諜の方は?」
「上手いこと敵方の懐に潜り込んでいるだろうよ」
「お陰で向こうの動きは筒抜けだ。なんとも間抜けな敵よな」
「俺の部下に感謝しろよ。それと、この建策が終わったら仮眠をとれ」
「なに?」
司馬懿は地図から顔を上げる。
全く、隠し通せるとでも思っていたのだろうか。
否、この男のことだから隠すつもりもなかったのだろう。
「三日も寝ずにいるんだろう。仲達の行動くらい予測が付く」
悔しそうに黙りこんだ司馬懿に、鴻霖は笑って彼の背中を叩いた。
(お前のやせ我慢なんかとっくにお見通しなんだよ。)
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