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日付を忘れたので、タイトルは↑↑↑で行こうと思います。

「貂蛉、貂蛉!」
「どうした、洛」


大樹から飛び降りた少年は、衣装を目も文に着飾った少女の前に現れる。
数多の侍女を放って走ってきた甄姫は、鴻霖を見つけると匂い立つばかりの笑顔を見せた。
鴻霖もまた、甄姫を目の前にしてまれに見る微笑を浮かべる。


「また走ってきたのか。髪が乱れてるぞ」
「貂蛉ったら、ばあやのような小言を言わないで」
「言わないわけにはいかないだろう?お前は、じきに袁煕様のお后になるんだから」


木々の間から漏れる陽に照らされた肌は白く、髪も滑らかで輝いている。
生まれたときから嫁ぎ先を決められ、大きな屋敷の奥で育て上げられた甄姫には非の打ち所など無かった。
男物を着ていても少女と見まがうほどの美しさを持つ鴻霖は、甄姫が父親以外に唯一言葉を交わすことの出来る少年だった。
家柄でも、鴻家は甄家に比べて遜色はない。

二人とも、親の取り決めた将来であって、自分たちに選択権はなかった。
鴻霖の場合は養子であるため尚更だったが、互いが一緒ならそれで良いと二人とも思っている。


「姫様!あ……鴻霖様もおられたのですか」


息を切らしながら侍女達が走ってくる。
甄姫に万一のことがあった場合、彼女たちは首を刎ねられてしまう。
必死の形相になるのも当然だろう。

それでも、紅顔の美少年である鴻霖を前にすると、侍女達は途端にしおらしくなった。
そのあからさまな変化を目にした甄姫は眉を寄せる。


「私の貂蛉に色目を使わないでちょうだい」
「洛。顔をしかめるな、せっかく綺麗で可愛いのに勿体ない」
「貂蛉がそう言うなら仕方が無いわね」


腕を絡めてくる甄姫に、鴻霖はただ彼女の髪と額に優しく口づけをした。



(幼い恋人たち。比翼連理の二人。)
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