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伊織 穂高
色々あって偶々審神者になった国立大学生。一番大人しそうな山姥切国広を初期刀に選んだら、実際はネガティブこじらせ男士だった。加州清光と顔を合わせるとすぐ喧嘩するので頭を抱えている。へしきり長谷部や一期一振などまとめ役がやってきてくれて嬉しい。
当面の目標は粟田口派のコンプリート。
意外と文武両道だが、審神者をしていて能力を発揮する場面があまりない。本丸でもレポートに追われている。
伊織 穂積
穂高の双子の兄。審神者ではないが、刀剣男士と会話できる&家事スキルがカンストしているため本丸に連れてこられて弟と刀と生活中。燭台切光忠と薬研藤四郎らと炊事場を切り盛りしている。
なんだかんだで穂高が心配で身の回りの世話を焼いてしまうお兄ちゃん。最近は大倶利伽羅も気になっている。加州や次郎太刀、乱藤四郎と会話していると、女子といる気分になる。
弟と同じく文武両道だが、弟より計画的。
色々あって偶々審神者になった国立大学生。一番大人しそうな山姥切国広を初期刀に選んだら、実際はネガティブこじらせ男士だった。加州清光と顔を合わせるとすぐ喧嘩するので頭を抱えている。へしきり長谷部や一期一振などまとめ役がやってきてくれて嬉しい。
当面の目標は粟田口派のコンプリート。
意外と文武両道だが、審神者をしていて能力を発揮する場面があまりない。本丸でもレポートに追われている。
伊織 穂積
穂高の双子の兄。審神者ではないが、刀剣男士と会話できる&家事スキルがカンストしているため本丸に連れてこられて弟と刀と生活中。燭台切光忠と薬研藤四郎らと炊事場を切り盛りしている。
なんだかんだで穂高が心配で身の回りの世話を焼いてしまうお兄ちゃん。最近は大倶利伽羅も気になっている。加州や次郎太刀、乱藤四郎と会話していると、女子といる気分になる。
弟と同じく文武両道だが、弟より計画的。
「兄君は好きな子とかいるのか?」
「好きな子?」
左上を見上げると、穂積が洗濯物を畳む手を止めてこちらを見ていた。
淡々とした、それでいて温かい声音。
西方訛りの言葉遣いは、厚たちを作った刀鍛冶を思い起こさせる。
「急にどないしたん」
「次郎姐さんと乱が『春は恋の季節よねー』なんて言ってたから」
「どこでそんな人間くさいこと覚えてきたんやろ」
「テレビとかじゃねーの?芸能界ニュースだったっけ、あいつらああいうの好きだし」
主たちが現代から本丸に帰ってくるたびに物が増えていく。
それは「電子レンジ」や「こたつ」といった生活用品だったり、幼い見目をした短刀のための玩具だったりと様々だが、いちいち目を丸くする刀たちを見て穂高と穂積は微笑んでいた。
「恋って人を好きになることだろ?」
「まぁそうやな」
「で、兄君は好きな人いんの?大将はどうなんだ?」
「穂高のことは知らんけど、俺はおらんかな。今はこことあっちの行き来だけで精一杯やわ」
「大変そうだな、大学って」
「いや、計画的に単位取ってればそうでもないで。ただあいつは理工学部のくせに、どうものんびりしとってなぁ」
主は常に、レポートなる書き物の提出に追われている。
おかげで本丸を留守にすることも多く、兄の穂積が名代となって取り仕切っている姿をよく見かける。
鍛刀も手入れもできないけれど、温かい御飯とお風呂、太陽の匂いがする布団を用意して、厚たちの帰りを待っていてくれる。
主ではないが、穂高と同じくらい大切で守りたいと思う。
当人にそれを言うと、困ったように笑うから少し胸が痛むけれど。
人の身体というものは、刀身よりも柔で些細なことで傷むのが不便だ。
「好きな人はいっぱいおるよ」
「え?」
「俺は厚のことが好きやし、国広も好きやし、そこで寝たふりして聞き耳立ててる加州も好きやで」
部屋の奥でうつ伏せになっていた加州が反応する。
主である穂高にも親愛の情はあるが、より個別的な愛情をくれる穂積に加州はよく懐いている。
「でも、そういうのは恋じゃないんだろ?」
「そうやな。恋は、自分だけのものにしたいって思うものなんちゃうかな」
「自分だけのもの?」
「あと、いつまでも隣におりたい、自分の隣にいてほしいって願うようになったら、それが恋なんちゃうか」
厚のかつての主は恋多き男だった。
天下人となってからは欲しいがままに女性を手に入れようとして、北政所が雷を落とすのを何度か見たことがある。
その前の主も、大勢の妻と美しい少年を侍らせていた。
あれも、恋だったのだろうか。
厚のような刀や、宝飾品を並べて愉悦に浸るのとは何が違ったのだろうか。
「……オレはまだ分かんねえや」
「そうか?案外、春はすぐそこかもしれへんで」
「え?」
「さて、俺は昼飯の用意でもするかなー」
「待って兄君、俺も行く!」
穂積が立ち上がると、置いて行かれるのを恐れた加州は慌てて身体を起こし近寄ってきた。
穂積もそれを見抜いていて、加州に聞こえるよう大きめの独り言を呟くようにしているのだろう。
「大将、俺も手伝う」
「いや、加州が手伝ってくれるみたいやから大丈夫。……じゃあ、薬研呼んできてくれる?」「薬研?」
「確か厨の当番やったと思うねん」
「分かった」
「あと、薬研に聞いたら分かるかもしれへんで」
「へ?」
「『恋ってどんなもの』ってな」
主と同じ造りの顔で、主がしない表情で微笑まれる。
「あとは厚しだいやな」
春は、もうすぐそこまで来ていた。
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