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rugosaシリーズ第一弾は、フライングして主人公④の神楽メインから。
いつかは壊れていく運命。
ならば。
『し~お~ん』
『神楽……どうしたの?』
『どうもしないよ』
桐生神楽。
この桐生学院の理事長の孫で、紫苑の唯一の親友。
例外的に、素の紫苑を知っているただ一人の少女。
桐生神楽もまた、学院では有名な少女であった。
美貌や性格、頭脳もだが、まず人を引きつけるのはその雰囲気。
うかつに触れたら淡雪のように消えてしまいそうな、危うい透明さ。
神々しい、清らかな、聖なる美しさ。
それゆえに、神楽は白雪姫やマリアと呼ばれていたりする。
『神楽って神様を信じてたりする?』
『微妙。キリストとかブッダとかは信じて無いよ』
『そうなの?』
敬虔な聖職者、という言葉が似合いそうな神楽。
紫苑にとって神楽の言葉は意外なものだった。
『所詮は人間の亡霊じゃない?すごく罰当たりな発言だけど』
そう言って笑うもなお、神楽は白く美しい。
何人たりとも立ち入ることを禁じられた、聖域のように。
綺麗過ぎる余りに、誰もが近づけない。
『シオ……桐生と居たのか』
『あ、倉内。久しぶり、元気?』
『元気、って今朝も会っただろ?』
『紫苑以外見てないもの』
神楽の冗談は冗談に聞こえない。
東は苦笑、というより失笑した。
『紫苑以外、必要無いわ』
深海のように、穏やかで暗い瞳。
その瞳には、何が映っているのだろうか。
神楽はとても潔い、というか痛々しいくらい程自分に厳しい少女だ。
自分を追いつめて、傷つけて、その痛みだけが生きている証だと思っている。
余りにも汚れを嫌うあまりに、神と同格のようになった神楽。いつか自然に溶けて消えてしまいそうに、透明。
そこだけ光が集まっているように、輝いている。
世界に愛された少女。
それなのに、神楽はその世界を拒む。
『誰にも知られずに、この世から自分の存在を抹殺してしまえたら、ってよく思うの』
無理だということは理解しているはずなのに。
『私が居なくても、きっと世界には何の変化も無い』
世界に適合できていない自分。
そんな自分が一人壊れても、それはたったの六十億分の一の損害。
きっと、世界は何の影響も受けない。
いつかは壊れていく運命。
ならば、もう全てが要らない。
『紫苑や倉内は、壊れないで』
神楽は穏やかに笑う。
その慈悲深い笑みが、紫苑たちの胸を締め付ける。
『紫苑たちは、私の光なの』
紫苑、東、紡、奏。
『私にとって、紫苑たちだけが救いなの。神様よりもね』
だから、どうか自分のようにはならないで、と。
神楽はそう言ったあと、涙を澪した。
ならば。
『し~お~ん』
『神楽……どうしたの?』
『どうもしないよ』
桐生神楽。
この桐生学院の理事長の孫で、紫苑の唯一の親友。
例外的に、素の紫苑を知っているただ一人の少女。
桐生神楽もまた、学院では有名な少女であった。
美貌や性格、頭脳もだが、まず人を引きつけるのはその雰囲気。
うかつに触れたら淡雪のように消えてしまいそうな、危うい透明さ。
神々しい、清らかな、聖なる美しさ。
それゆえに、神楽は白雪姫やマリアと呼ばれていたりする。
『神楽って神様を信じてたりする?』
『微妙。キリストとかブッダとかは信じて無いよ』
『そうなの?』
敬虔な聖職者、という言葉が似合いそうな神楽。
紫苑にとって神楽の言葉は意外なものだった。
『所詮は人間の亡霊じゃない?すごく罰当たりな発言だけど』
そう言って笑うもなお、神楽は白く美しい。
何人たりとも立ち入ることを禁じられた、聖域のように。
綺麗過ぎる余りに、誰もが近づけない。
『シオ……桐生と居たのか』
『あ、倉内。久しぶり、元気?』
『元気、って今朝も会っただろ?』
『紫苑以外見てないもの』
神楽の冗談は冗談に聞こえない。
東は苦笑、というより失笑した。
『紫苑以外、必要無いわ』
深海のように、穏やかで暗い瞳。
その瞳には、何が映っているのだろうか。
神楽はとても潔い、というか痛々しいくらい程自分に厳しい少女だ。
自分を追いつめて、傷つけて、その痛みだけが生きている証だと思っている。
余りにも汚れを嫌うあまりに、神と同格のようになった神楽。いつか自然に溶けて消えてしまいそうに、透明。
そこだけ光が集まっているように、輝いている。
世界に愛された少女。
それなのに、神楽はその世界を拒む。
『誰にも知られずに、この世から自分の存在を抹殺してしまえたら、ってよく思うの』
無理だということは理解しているはずなのに。
『私が居なくても、きっと世界には何の変化も無い』
世界に適合できていない自分。
そんな自分が一人壊れても、それはたったの六十億分の一の損害。
きっと、世界は何の影響も受けない。
いつかは壊れていく運命。
ならば、もう全てが要らない。
『紫苑や倉内は、壊れないで』
神楽は穏やかに笑う。
その慈悲深い笑みが、紫苑たちの胸を締め付ける。
『紫苑たちは、私の光なの』
紫苑、東、紡、奏。
『私にとって、紫苑たちだけが救いなの。神様よりもね』
だから、どうか自分のようにはならないで、と。
神楽はそう言ったあと、涙を澪した。
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読みました。
何か高尚な小説ですね。
神楽さんに似たキャラクタどっかで見たな~と思ったら、某少女漫画の主人公の親友がこんな性格でした。「私にはお前だけ居てくれればそれでいいんだ」っていう……
「自分が消えても世界は何も変わらない」という考えもつい最近、ふと本を読んでそれについて思慮してたトコなんで共感持てました~。
あと神様について。今書いてる小説のテーマが「絶対的な存在の”神”」なんで参考になりました。(詳細は後日)
神楽さんがどうして紫苑さん溺愛(少しは語彙力を付けて下さい)なのかこれから解明されて行くんでしょうか? 楽しみです。
では。また来ますね。
神楽さんに似たキャラクタどっかで見たな~と思ったら、某少女漫画の主人公の親友がこんな性格でした。「私にはお前だけ居てくれればそれでいいんだ」っていう……
「自分が消えても世界は何も変わらない」という考えもつい最近、ふと本を読んでそれについて思慮してたトコなんで共感持てました~。
あと神様について。今書いてる小説のテーマが「絶対的な存在の”神”」なんで参考になりました。(詳細は後日)
神楽さんがどうして紫苑さん溺愛(少しは語彙力を付けて下さい)なのかこれから解明されて行くんでしょうか? 楽しみです。
では。また来ますね。