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設定には出てこないネタあり。
「貂蛉!ちょうれーいっ!」
「……興覇?お前、なに一介の武将になってるんだ?!」
曹操の我が侭に付き合って呉国の市場に足を踏み入れる。
特産品を適当に買い漁っていた鴻霖は甘寧と再会した。
「アンタの知り合いなのか?」
「おう、俺が水賊やってた頃のツレだぜ」
「ツレ?」
「俺は賊じゃないぞ。勘違いしないでくれ」
泣き黒子の男はまじまじと鴻霖を見てくる。
彼も甘寧と同じく兵を従えているから、呉の武将なのだろう。
斥候に出している部下の報告通りなら、男の名前は凌統に違いない。
字は覚える必要がなさそうだから、記憶の中から消去してしまったが。
「俺が士官してるなんて驚いただろ?」
「驚いた。けど、孫呉の将来を憂えるな。興覇を武官にするなんて」
「俺も同意見だわ。アンタ、俺と気が合いそうじゃん」
「凌統てめェ!貂蛉も、部下がいる前で言うことじゃねぇだろうがっ」
甘寧は激昂し、凌統はニヤニヤと笑う。
買い物袋を抱えている鴻霖は、愛馬のところへ行って早く荷物を降ろしたかった。
「そういや貂蛉はまだ旅してんのか?」
「ああ……特に落ち着くところも無いしな」
さすがに曹魏に仕えているとは言えず、言葉を濁す。
魏人の装束を着てなかったのは幸運だった。
甘寧のなかで"鴻"霖は、生き別れた姉を未だに探し続けている"王"霖であるのだろう。
実際、捜索の手を緩めたことはない。
どこかでひっそりと生きていてくれればいいと思いながらも、彼女に似た美しい女を眼で追ってしまう。
そういう意味では、鴻霖貂蛉は王霖貂蛉だった頃となんら変わらない。
「久しぶりに会ったんだし、今夜は飲み明かそうぜ!」
「ちょっとアンタ、呂蒙さんに酒は慎めって言われたの忘れたのかよ?」
「うっせぇな、少しくらい良いだろうが。お前は小姑か?」
「お前ら、仲良いな」
「「どこが!!」」
反論するところまで息が合っているじゃないか。
鴻霖は心の中でのみ呟いた。
二人の後ろにいる呉兵たちも慣れたもので、のんきに日和話などしている。
それとは違い狼狽しているのはきっと新人なのだろう、上司の喧嘩などに巻き込まれてしまうとは。
兵士を気の毒に思った鴻霖は、甘寧と凌統の間に割り込んだ。
「市場で騒ぐよりも興覇の館に連れて行け。飲むための酒はたっぷりあるんだろうな?」
途端に甘寧は怒りを忘れ、鴻霖と肩を組んできては鼻歌を歌いだした。
いつまでも快活な古馴染みを見て、鴻霖は苦笑した。
(少しくらいなら、寄り道したって怒られやしない。)
「……興覇?お前、なに一介の武将になってるんだ?!」
曹操の我が侭に付き合って呉国の市場に足を踏み入れる。
特産品を適当に買い漁っていた鴻霖は甘寧と再会した。
「アンタの知り合いなのか?」
「おう、俺が水賊やってた頃のツレだぜ」
「ツレ?」
「俺は賊じゃないぞ。勘違いしないでくれ」
泣き黒子の男はまじまじと鴻霖を見てくる。
彼も甘寧と同じく兵を従えているから、呉の武将なのだろう。
斥候に出している部下の報告通りなら、男の名前は凌統に違いない。
字は覚える必要がなさそうだから、記憶の中から消去してしまったが。
「俺が士官してるなんて驚いただろ?」
「驚いた。けど、孫呉の将来を憂えるな。興覇を武官にするなんて」
「俺も同意見だわ。アンタ、俺と気が合いそうじゃん」
「凌統てめェ!貂蛉も、部下がいる前で言うことじゃねぇだろうがっ」
甘寧は激昂し、凌統はニヤニヤと笑う。
買い物袋を抱えている鴻霖は、愛馬のところへ行って早く荷物を降ろしたかった。
「そういや貂蛉はまだ旅してんのか?」
「ああ……特に落ち着くところも無いしな」
さすがに曹魏に仕えているとは言えず、言葉を濁す。
魏人の装束を着てなかったのは幸運だった。
甘寧のなかで"鴻"霖は、生き別れた姉を未だに探し続けている"王"霖であるのだろう。
実際、捜索の手を緩めたことはない。
どこかでひっそりと生きていてくれればいいと思いながらも、彼女に似た美しい女を眼で追ってしまう。
そういう意味では、鴻霖貂蛉は王霖貂蛉だった頃となんら変わらない。
「久しぶりに会ったんだし、今夜は飲み明かそうぜ!」
「ちょっとアンタ、呂蒙さんに酒は慎めって言われたの忘れたのかよ?」
「うっせぇな、少しくらい良いだろうが。お前は小姑か?」
「お前ら、仲良いな」
「「どこが!!」」
反論するところまで息が合っているじゃないか。
鴻霖は心の中でのみ呟いた。
二人の後ろにいる呉兵たちも慣れたもので、のんきに日和話などしている。
それとは違い狼狽しているのはきっと新人なのだろう、上司の喧嘩などに巻き込まれてしまうとは。
兵士を気の毒に思った鴻霖は、甘寧と凌統の間に割り込んだ。
「市場で騒ぐよりも興覇の館に連れて行け。飲むための酒はたっぷりあるんだろうな?」
途端に甘寧は怒りを忘れ、鴻霖と肩を組んできては鼻歌を歌いだした。
いつまでも快活な古馴染みを見て、鴻霖は苦笑した。
(少しくらいなら、寄り道したって怒られやしない。)
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