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ま、これが女装の発端になったんですけれども。

「お前が甄付きの者か」
「は。洛陽の商人、鴻鳳の息子で鴻霖貂蛉と申します」


頭を垂れ、礼の形を取る。
目の前で、優雅に座している男こそが、魏国太子曹丕子桓。
袁煕を討ち取り、甄姫の次の夫となった。


「天女に紛うほどの男がいるとは聞いていたが、これ程とは思わなんだ」


既に袁家で聞き飽きた言葉だ。
実姉の貂蝉と瓜二つの顔立ちなのだから、美しくて当然だろう。
それにしても、妻となる甄姫の前で平然と言ってのける曹丕の神経を疑う。
甄姫はただ、鴻霖の隣で美しく微笑みを保っていた。


「甄よ」
「なんでしょう、我が君」
「その者は、ずっとお前に仕えているのか」
「そうですわ。いかなる時も傍を離れないようにと命じてますの」
「しかし、これからお前が住むところは後宮。男が入ることは許されぬ」


それは解っていたことだ。
決して変えられることのない、長きに渡る伝統と秩序。


「この者を手放すくらいならば、輿入れなど致しませんわ」
「洛」
「死が二人を分かつまで。共に生きると誓いましたもの」


(その時の彼女は、女神よりも神々しく、美しかった)
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