拍手ログ等を収納しております。別リンクでない小説は、名前変換はありません。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
(俺はまだ、貴女を忘れられずにいる)
金、銀、真珠に瑪瑙、翡翠、瑠璃。
宝石をあしらった簪を手に取り、髪に挿す。
鬘の重みにも慣れたかと思ったが、やはり何もないほうが楽でいい。
紅で唇を彩り、目尻にも朱を引く。
装束に焚きしめた香は、男を惑わすと都で評判のもの。
女らしい丸みがない分、柔らかい布地を重ねた衣服で体型をごまかす。
鏡を覗き込めば、世界で一番美しいと思う人が映る。
「行って参ります、姉上」
人は絶世の美女だと己を褒める。
つまりそれは、己がまだ姉の面影を宿せているということだ。
いつまでも老いることなく、この見目を保っていられたら。
そうすればいつだって、己を見るたびに彼女と会えるのに。
鏡をそっと伏せて、いつものように部屋を後にした。
宝石をあしらった簪を手に取り、髪に挿す。
鬘の重みにも慣れたかと思ったが、やはり何もないほうが楽でいい。
紅で唇を彩り、目尻にも朱を引く。
装束に焚きしめた香は、男を惑わすと都で評判のもの。
女らしい丸みがない分、柔らかい布地を重ねた衣服で体型をごまかす。
鏡を覗き込めば、世界で一番美しいと思う人が映る。
「行って参ります、姉上」
人は絶世の美女だと己を褒める。
つまりそれは、己がまだ姉の面影を宿せているということだ。
いつまでも老いることなく、この見目を保っていられたら。
そうすればいつだって、己を見るたびに彼女と会えるのに。
鏡をそっと伏せて、いつものように部屋を後にした。
PR