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生存者で唯一、王霖を知る男。
「ここを出ていく?なんでだよ、貂蛉!」
怒りに任せて、甘寧は叫ぶ。
机に叩きつけられた杯の音が、ひどく耳障りだ。
王霖は顔をしかめ、酒をあおった。
「なんか気に入らねぇことでもあんのか」
「話は最後まで聞け、興覇。別に嫌になったから船を降りるわけじゃない」
船上での暮らしは楽しい。
海賊といえども、筋の通った任侠の男たちばかりだ。
姉を失い、流浪して、落ち着ける場所にやっと巡り合えたと思った。
短気な面はあるが、この男に嫌気がさしたこともない。
「それなら、なんで!」
「……姉上が生きているかもしれないと、風の噂で聞いた」
「な?!ホントかよ、それ」
「自分の目で、確かめたいんだ」
戦乱のなか、貂蝉の手を放すべきではなかった。
自分たちの絆を過信してはいけなかった。
一緒に、二人きりで生きていくはずだったのに。
「どうしても行くのかよ」
「ああ、世話になった。礼を言う、興覇」
「……ッチ、姉貴が見つからなかったら、すぐにでも帰って来いよ。な?」
頷きはしない。
一度船を降りるとは、そういうことだ。
ただ黙ったまま、二人の盃に酒を満たした。
(この広い世界で、再び巡り合えたなら)
怒りに任せて、甘寧は叫ぶ。
机に叩きつけられた杯の音が、ひどく耳障りだ。
王霖は顔をしかめ、酒をあおった。
「なんか気に入らねぇことでもあんのか」
「話は最後まで聞け、興覇。別に嫌になったから船を降りるわけじゃない」
船上での暮らしは楽しい。
海賊といえども、筋の通った任侠の男たちばかりだ。
姉を失い、流浪して、落ち着ける場所にやっと巡り合えたと思った。
短気な面はあるが、この男に嫌気がさしたこともない。
「それなら、なんで!」
「……姉上が生きているかもしれないと、風の噂で聞いた」
「な?!ホントかよ、それ」
「自分の目で、確かめたいんだ」
戦乱のなか、貂蝉の手を放すべきではなかった。
自分たちの絆を過信してはいけなかった。
一緒に、二人きりで生きていくはずだったのに。
「どうしても行くのかよ」
「ああ、世話になった。礼を言う、興覇」
「……ッチ、姉貴が見つからなかったら、すぐにでも帰って来いよ。な?」
頷きはしない。
一度船を降りるとは、そういうことだ。
ただ黙ったまま、二人の盃に酒を満たした。
(この広い世界で、再び巡り合えたなら)
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