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求(もとむ)
恵(めぐむ)
一卵性なため見た目はそっくりだが、中身は正反対……でもなくフツーに仲が良い兄弟。
お互いの縄張りを荒らさないようにと無意識に気遣っている。
兄の求はクラスのリーダー的存在で、悪友と女子たちに勧められるまま某事務所のオーディションに応募して合格。
運動神経もよく歌も上手いので固定ファンもついており、あとは運さえ掴めればデビューできるはず。
弟の恵は窓際を好んでいるが、天からニ物も三物も与えられたため結局は目立つ。
普段は余裕で物事をこなす求が、今はがむしゃらに頑張っているので、片割れとして心の中でこっそり応援している。
ダンスも歌も実は才能有り、だがやろうとはしない。
恵(めぐむ)
一卵性なため見た目はそっくりだが、中身は正反対……でもなくフツーに仲が良い兄弟。
お互いの縄張りを荒らさないようにと無意識に気遣っている。
兄の求はクラスのリーダー的存在で、悪友と女子たちに勧められるまま某事務所のオーディションに応募して合格。
運動神経もよく歌も上手いので固定ファンもついており、あとは運さえ掴めればデビューできるはず。
弟の恵は窓際を好んでいるが、天からニ物も三物も与えられたため結局は目立つ。
普段は余裕で物事をこなす求が、今はがむしゃらに頑張っているので、片割れとして心の中でこっそり応援している。
ダンスも歌も実は才能有り、だがやろうとはしない。
お腹の中で二人はずっと手をつないでたのよ。
そう言って母が笑い父も微笑むけれど、実感も真実味も持たない話を信じられるわけもない。
とりあえず片割れを見遣ると、相手も同じようにこちらを向いた。
まるで、写し鏡のように瓜二つの顔で。
「ただいまー……」
「おかえり」
「母さんは?」
「今日は遅くなるって。父さんもらしいけど」
「じゃあ今日はメグが晩飯つくるんだ?ラッキー」
よほど疲れているのかしな垂れかかってくる片割れを背負ったまま、恵は歩き出す。
求自身も歩きにくいだろうに、恵から離れようとはしない。
「求は肉でいーんだろ?」
「うん。メグのほうが母さんより料理うまいし、肉なら文句なし」
「それ母さんに言うなよ。今度から晩飯作らなくなるから」
「メグが毎日つくってくれるなら、それはそれでいーかも」
「俺が疲れるの。風呂沸いてるから、先に入ってくれば?」
「はーい。ありがとな」
一度強く抱き着いてから、恵を解放する。
片割れとのスキンシップは大切だが、今の求には休息が必要だった。
「うぁ……気持ちいー」
「求、タオルと着替え置いとくから」
「ありがと」
「いーえ」
レッスンで凝った筋肉が弛緩していく。
思わず出た台詞が父親のそれと同じことに苦笑していると、ドア越しに恵の姿が見えた。
細やかな気遣いができる片割れとそうでない自分は、兄弟というより母と子どもに近い。
何かと世話を焼いてもらっているという自覚もあるから、恵には頭が上がらないでいる。
「はー、生き返った」
「求、それ親父の言うことと一緒」
「やっぱり?俺もそう思った」
同じ顔を見合わせて笑う。
傍から見れば区別が付けにくいらしいが、毎日お互いを見ているからこそ分かる違いもある。
睫毛が長く濃いのが恵で、鼻が高いのが求。
本人たちが言って、よーく見てみるとようやく周囲も気付くくらいの些細な違いだ。
「明日は朝から仕事?」
「確か、午後から撮影だからちょっとだけ授業出る」
「了解」
いわゆる芸能人が単位を取得するための学校に双子揃って通っているのは、周囲に混乱をきたさないため。
顔が売れてきた片割れと間違われるまではいいとして、ファンやそうでもない女子にもみくちゃにされるのは堪らない。
家族会議を開いた結果、芸能コースと普通科が存在する今の学校に進学を決めたというわけだ。
それでも、教科書を忘れた求が恵のところにやって来ると少し姦しくなるのが現状。
気持ちが分からないでもないから本人たちも何も言わない。
「メグ、はやく寝よ」
「二段ベッドの意味ないよな、狭いし」
「今度は買ってもらうときはダブルサイズ頼む?」
「だな」
親がいないとやっぱり寂しくて、身を寄せ合って眠った小さい頃。
身体は大きくなっても、片割れに呼ばれると大人しくその腕の中に収まるわけで。
「おやすみ」
「おやすみ」
夢の中でも一緒にいられるように、手をつないで目を閉じた。
そう言って母が笑い父も微笑むけれど、実感も真実味も持たない話を信じられるわけもない。
とりあえず片割れを見遣ると、相手も同じようにこちらを向いた。
まるで、写し鏡のように瓜二つの顔で。
「ただいまー……」
「おかえり」
「母さんは?」
「今日は遅くなるって。父さんもらしいけど」
「じゃあ今日はメグが晩飯つくるんだ?ラッキー」
よほど疲れているのかしな垂れかかってくる片割れを背負ったまま、恵は歩き出す。
求自身も歩きにくいだろうに、恵から離れようとはしない。
「求は肉でいーんだろ?」
「うん。メグのほうが母さんより料理うまいし、肉なら文句なし」
「それ母さんに言うなよ。今度から晩飯作らなくなるから」
「メグが毎日つくってくれるなら、それはそれでいーかも」
「俺が疲れるの。風呂沸いてるから、先に入ってくれば?」
「はーい。ありがとな」
一度強く抱き着いてから、恵を解放する。
片割れとのスキンシップは大切だが、今の求には休息が必要だった。
「うぁ……気持ちいー」
「求、タオルと着替え置いとくから」
「ありがと」
「いーえ」
レッスンで凝った筋肉が弛緩していく。
思わず出た台詞が父親のそれと同じことに苦笑していると、ドア越しに恵の姿が見えた。
細やかな気遣いができる片割れとそうでない自分は、兄弟というより母と子どもに近い。
何かと世話を焼いてもらっているという自覚もあるから、恵には頭が上がらないでいる。
「はー、生き返った」
「求、それ親父の言うことと一緒」
「やっぱり?俺もそう思った」
同じ顔を見合わせて笑う。
傍から見れば区別が付けにくいらしいが、毎日お互いを見ているからこそ分かる違いもある。
睫毛が長く濃いのが恵で、鼻が高いのが求。
本人たちが言って、よーく見てみるとようやく周囲も気付くくらいの些細な違いだ。
「明日は朝から仕事?」
「確か、午後から撮影だからちょっとだけ授業出る」
「了解」
いわゆる芸能人が単位を取得するための学校に双子揃って通っているのは、周囲に混乱をきたさないため。
顔が売れてきた片割れと間違われるまではいいとして、ファンやそうでもない女子にもみくちゃにされるのは堪らない。
家族会議を開いた結果、芸能コースと普通科が存在する今の学校に進学を決めたというわけだ。
それでも、教科書を忘れた求が恵のところにやって来ると少し姦しくなるのが現状。
気持ちが分からないでもないから本人たちも何も言わない。
「メグ、はやく寝よ」
「二段ベッドの意味ないよな、狭いし」
「今度は買ってもらうときはダブルサイズ頼む?」
「だな」
親がいないとやっぱり寂しくて、身を寄せ合って眠った小さい頃。
身体は大きくなっても、片割れに呼ばれると大人しくその腕の中に収まるわけで。
「おやすみ」
「おやすみ」
夢の中でも一緒にいられるように、手をつないで目を閉じた。
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