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贖罪に近い愛情。

養父に引合わされたのは、十にも満たない少女。


「姫君。これは私の息子で鴻霖貂蛉と申します」
「お初にお目にかかります、洛様」
「……男なの?」


少女に見つめられ、鴻霖は微笑んだ。
とても美しく、手入れの生き届いた深窓の令嬢。
漢朝の名家、袁家に嫁ぐためだけに生まれた清華。


「今日から洛様に仕えさせて頂くことになりました。どうかよろしくお願いしたします」
「私に仕えるの」
「はい」
「ずっと?私が袁煕様の妻となっても、傍を離れたりしないのね?」


鈴を転がすような、幼い声音。
その問いかけは、鴻霖の心に突き刺さる。

美しく賢く、気高くあることだけを求められ、綺麗なものだけを与えられて育つ姫。
温室で、完璧に育てられていくのが、どんなに孤独で悲しいことか。


「いつまでも傍にいることを誓いましょう。我が身、我が心の全てを貴女様に」
「約束よ。死が私たちを分かつまで、共に生きるのよ」


鴻霖が頷くと、甄姫は初めて笑った。




(一度死んだこの身で良いのなら、全てをこの姫に捧げようと思った)
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